LINEと野村ホールディングスが協力してはじめた新サービスのLINE証券。
2019年8月20日からAndroid端末、そして2019年8月26日からiPhoneでサービスがはじまりました。
「投資をもっと身近に、もっと手軽に」をキャッチフレーズにはじまったサービス。
LINEというほとんどの人が使っているであろうアプリ上でのサービスということで、利用の障壁が低いのは間違いありませんが、果たして身近に手軽にはじめてお得さを感じられるサービスになっているのかどうか。
まだ始まったばかりで、これからいろいろとキャンペーンなどが打ち出されることと思いますが、この記事では現時点で分かるLINE証券の特徴ごとに、メリットとデメリットについてみていきましょう。
LINE証券の特徴
LINE Pay残高から入出金可能
これがLINE証券の大きなメリットのひとつです。
LINE証券の口座には銀行口座から入金を行うのですが、銀行口座だけではなく、LINE Payの残高からも入金を行うことができます。
LINEショッピングなどのLINEサービスを使っていてLINEポイントが貯まっている人も多いと思いますが、LINEポイントはLINE Payの残高に変換してチャージすることができます。
つまり、LINE証券ではLINEポイントで投資が可能ということになるのです。
SBIネオモバイル証券はTポイントで投資できることをアピールしていましたが、そこへの対抗策にもなっていますね。
1株から買える
通常、株式は単元と呼ばれる単位でしか買うことができません。
1単元100株や1,000株となっていることが多いので、それなりの値段のする株式の場合、そもそも最低でも必要な金額がかなり大きくなってしまいます。
LINE証券のように単元よりも小さい単位で買う株式をでは単元未満株と言います。
単元未満株のメリットはなんといっても少額から購入できることです。
単元に満たないとはいえ、配当はちゃんと受け取ることができるのも大きなメリットです。
一方で、単元未満株で株主優待を受けれるかは株式を発行している企業によりますが、受け取れないところの方が多いため、これはデメリットと言えます。
手数料が無料
LINE証券では手数料が無料とされています。
これだけ見るとものすごいメリットにも見えますが、実はスプレッドという形で手数料が乗っています。
スプレッドと言われても何のことだか分からないと思いますので簡単に説明すると…
上記の絵のように、LINE証券は市場で買った価格に自分の取り分を上乗せしてLINE証券の利用者に売却します。
このLINE証券の買値と売値の差額である1円がスプレッドになります。
上記の例ではLINE証券からの購入金額100円につき1円の手数料がかかる計算になります。
実際に2019年9月6日の例を見てみましょう。
銘柄 | LINE証券価格 | 当日終値 | スプレッド相当額 |
積水ハウス | 2,002.9 | 1,983.0 | 1.00% |
楽天 | 994.9 | 984.0 | 1.11% |
メルカリ | 2,639.2 | 2,613.0 | 1.00% |
適当に3銘柄ピックアップしてみてみましたが、概ね1%のスプレッドが乗っているようです。
ネット証券大手の楽天証券やSBI証券では、50,000円までの購入であれば手数料は50円です。
5,000円分の株を買った場合には手数料が1%となり、50,000円の株を買ったのであれば0.1%となります。
LINE証券は少額の取引をターゲットにしていると思うので、1%でも他の証券会社と大差がないという判断だったのでしょうか。
ですが、購入金額が大きくなると非常に割高になります。
スプレッド(手数料)に関しては標準+αの高さであり、購入金額が大きくなればなるほどデメリットであると言えます。
取引時間が長い
LINE証券では夜21時まで取引が可能です。
手数料で載せたイラストでも分かる通り、利用者がLINE証券で株式を買う場合、売り手は市場ではなくてLINE証券になります。
このような市場を経由しない取引を相対取引と言い、取引時間や値段が市場の制約を受けません。
昼間は仕事なり学校なりで時間が取れなくても、夜間に取引できるのは大きなメリットですね。
ETFが買える
ETFとはExchange-Traded Fundの略で、市場で取引される投資信託のことで、TOPIXに連動するものや不動産に連動するもの、NYダウに連動するもの、金の価格に連動するものなど、さまざまな種類があります。
LINE証券がターゲットとしている少額からの投資においても、ETFには大きなメリットがあります。
ETFのメリット①:分散投資できる
ひとつは分散投資ができるということです。
これは投資額に関係はありませんが、ETFはTOPIXやNYダウなどの株式指数に連動しているため、仮に投資先の企業がひとつ倒産したとしても、大きな影響はありません。
また、投資先はTOPIXに含まれている企業になるため、輸入企業と輸出企業、飲食店とスーパーなど、様々な業種に分散投資していることにもなります。
ETFのメリット②:分配金を受け取れる
TOPIXなどの株式指数に連動するETFの中身は株式であるため、ETFの発行体はその配当を受け取っています。
そして、その配当は分配金としてETFの購入者に配られます。
ETFのメリット③:株主優待を活用できる
単元未満株では受け取れない株主優待についてですが、ETFであれば発行体がETF購入者全員分の株式を持っていることになるため、代わりに株式優待を受け取っています。
発行体は受け取った株主優待を換金してETF購入者に還元(価格に反映して含み益とする)するため、単元未満株しか買えないような金額だったとしても、ETFであれば株主優待の恩恵を一部でも受け取ることが可能なのです。
国内100銘柄の取引が可能
LINE証券が選択した、国内株式100銘柄についての取引が可能です。
トヨタや東京電力、スシローなど、誰もが知っている銘柄ばかりです。
LINEの利用者が知っている、親しみを持てるような企業を選択したということですが、その他にも相対取引として21時以降も取引可能にするために、ある程度取扱銘柄を絞る必要があったのではないかと思います。
この点はメリットでもありデメリットでもありますが、株主優待を狙うような大手の株式は対象となっていますし、積み立てるのであればETFがあるので、そこまでのデメリットではないと思います。
これ以上の銘柄をバリバリ取引したいという人はそもそもLINE証券を使わないでしょうし、LINE証券もそういう人をターゲットにしている訳ではないでしょう。
NISAやiDeCoの制度は利用できない
NISAやiDeCoといった、税制上の優遇措置制度は利用できません。
そもそもLINE証券は少額から手軽に、簡単に投資をしてもらいたいとう発想であるため、ある程度の知識と手続きを要求する制度を混ぜない方がシンプルで良いという判断なのでしょう。
LINE証券が狙っているくらいの少額投資ではiDeCoやNISAの恩恵を十分に受けることはできません。
また、積立NISAやiDeCoでは自動的に定期に定額を積み立てる機能、豊富な手数料の低い投資信託のラインナップ等、用意しなければならないものが多く、制度活用の面では楽天証券やSBI証券に勝ち目はありません。
制度を利用できないことはデメリットではありますが、これは目的別にすみ分けをしているだけだと思います。
制度を活用して積み立てを行いたいのであれば、楽天証券やSBI証券に登録して、適切な商品を選んではじめることをおすすめします。


おわりに
はじまったばかりのLINE証券ですが、少額で投資を体験してみたい、LINEポイントを活用してみたいという人にはおすすめのサービスです。
少額ではあっても、実際に株価の動きで得をしたり損をしたり、配当をもらったりするうちに、自然とお金の動きに敏感になり、市場の動きも気になるようになってきます。
一方で、ある程度まとまった金額の株を買おうとするとスプレッド(手数料)が割高になるので、そのような場合はおすすめできません。
ですので、少額投資のうちはLINE証券を活用し、本格的に投資をしたくなったら、大手の証券会社に口座を開設してみましょう。
こうして多くの人の金融リテラシーが向上することで、他の証券会社のサービスもより良いものになっていくでしょう。
LINE証券の登録自体は非常に簡単です。
以下の記事で手順を紹介しているので、参考にしてもらえればと思います。

LINE証券はとりあえず始まりはしたものの、本領を発揮するのはまだまだこれからだと思っています。
LINEサービスと連携したキャンペーンなど、他の証券会社にはできないようなサービスをこれから打ち上げていくはずです。(実際に登録中にもこれからやりますと書かれていましたし…)
LINE証券単体ではなく、他のサービスをあわせて楽しく投資をできるようなサービスになってもらえれるとうれしいですね。
これからに期待です!
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